∴ 小説・エッセイ／沈まぬ太陽

山崎豊子さん著作「沈まぬ太陽」は、日航ジャンボ機墜落事故を
題材にした全５巻の小説です。

これを読むそもそものきっかけは、小説の主人公恩地元氏が、
写真集「アフリカの風」や、サファリ図鑑「フィールドガイド・アフリカ野生動物」、
「東アフリカの鳥」の著者である小倉寛太郎さんをモデルにしたものだと
知ったからです。

航空会社に勤める恩地氏が組合員長となり、安全運行を最優先事項として
交渉を進めたところ、懲罰的人事にあい、社内規定を大きく超える期間、
へき地勤務をたらい回しにされます。その中のひとつであるケニアで
狩猟をするシーンから、この小説は始まります。

紆余曲折の後、日本へ戻ることになるのですが、あの１２３便墜落事故が
起こってしまいます。

原因を究明しようと進んだ先は、政治家も関わる深い闇の中でした・・・。

当初は、ケニアサファリに欠かせない動物図鑑を作った方が、
航空会社の社員だったという意外性から読み始めたのですが、
現在も多かれ少なかれ組織には存在する理不尽さや、
今でも故障や幹部職員との確執が報道されている航空会社の姿が
重なり、５巻を一気に読み終えてしまいました。

著者の山崎氏が、この小説を書き上げることの難しさを
あとがきで吐露されていますが、取材するほどに、どこまでも
深くなっていく闇の中を進んでいくことの困難さは
容易に想像できます。

フィクションも交えた構成で、また山崎氏自身、小説の中では
墜落原因を圧力隔壁の修理ミスととっているが、他の説が
あることも承知していると書かれているとおり、小説の内容を
すべて鵜呑みにするわけにはいきませんが、しかし、
長期にわたる取材を得て執筆されたものであることに偽りはなく、
長編を一気に読ませる筆力は唸るほかありません。

また、事故の犠牲者となられた御遺族の方々が本名で
書かれている事に、取材の緻密さが伺え、当時は知ることも無かった
御遺族の方々の哀しみや、孤独、事故機の様子などを
書いている第３巻は、涙なくしては読むことができませんでした。
取材者側も、受ける側も、どれだけ辛い取材であったかと、
改めて犠牲となられた方々のご冥福を祈らずにはいられません。

この本には、賛否両論あることは承知していますが、
私は、周囲の人にも読むことを勧めたい本です。

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（最終Uｐdate：2007.06.21）

∴ 小説・エッセイ／サバンナの宝箱

ケニアで獣医になるまでを描いた「晴れ、ときどきサバンナ」の著者
滝田明日香さんが、獣医になった後を描いた作品が
サバンナの宝箱です。

日本の様にスムーズにコトが運ばないケニアでの奮闘振りや、
動物達への愛情、旅行ではなかなか見ることのできないケニアの
現状や日常を見る事ができます。
一部日記形式になっているので、サラリと読むことのできる一冊です。


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（最終Uｐdate：2007.06.17）

∴ 小説・エッセイ／晴れ、ときどきサバンナ

現在、ケニアでマサイ族の牛の回診を行う獣医として
活躍されている滝田明日香さん著作の「晴れ、ときどきサバンナ」。

 
　　　本当の自分は一体どのような人間なのか
　　　価値観、世間体、物欲に捕らわれ本来何に喜び
　　　何に感動するのか忘れていた　　　，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（晴れ、ときどきサバンナより）

そんな一人の女の子が、ひょんなきっかけでマサイマラの
ムパタサファリクラブで働く事になり、就労期間が終りケニアを去った後も、
生き方を探りながら、アフリカへ戻ることを決意するまでのことが
若さ溢れる文章で綴られています。


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（最終Update：2007.06.15）

∴ 小説・エッセイ／アフリカの王

伊集院静著「アフリカの王（上下２巻）」は、マサイマラ国立保護区にある
ムパタサファリクラブ建設に係る実話を基に小説化したものです。

日本に拠点を置いている編集社に勤める男性が、
雑誌の編集で訪れたケニアで目の当たりにする大自然、
ムパタサファリクラブの名の由来となった画家が描いた作品との出会い、
スラムで暮らす本人との出会いなどを経て、
個人の力でケニアにロッジを建設しようと決意をし、
協力者を募り、困難を克服しながらロッジ完成に到るまでの話で、
アフリカどっぷりの描写ではなく、日本での描写も多く散りばめられており、
アフリカに興味がなくとも一気に読める内容に仕上がっています。

ケニアでの夜明けの風景や、嵐の描写は素晴らしく、
あの大地を見たことがある方は脳裏に風景を蘇らせながら
読むことができると思います。


　　　　 　 


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（最終Update：2007.06.14）

∴ 小説・エッセイ／アフリカの日々

「アフリカの日々」、英語タイトル「Out of Africa」は、ケニアで女主人として
コーヒー園を営んでいたカレン・ブリクセン（英語のPNアイザックディネーセン）が、
ケニアで過ごした日々を本にしたものです。
小説としての構成を保つため、部分的に創作も含まれていますが、
ケニアで悩み抜きながらもやがて自己を確立し、自分の居場所をみつけ、
しかしこの地を去らなければならなかったことが、淡々と綴られています。
必要以上の感情を押さえ込んだ文章が、逆に読み手の感情を呼び起こし、
行間から土地の人に対する深い愛情や、洞察力、己の中に抱え込んだ
孤独などが読み取れ、読み終えたときにはしばらく次の本に移れないほどの
放心状態に近い脱力感を覚えました。
名作ならではの心地好い、脱力感です。

アフリカの日々

「アフリカの日々」のレビューを見る

ナイロビにカレン・ブリクセン博物館（Karen Blixen Museum）があり、
彼女が住んでいた家が博物館として開放されています。
また、西ツァボN.P.にある高級テントロッジ、フィンチハットンズの
レストランには、カレンやその恋人フィンチ・ハットンの写真が飾られています。

ケニア土産
空飛ぶカバン屋(a-style)

　
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（最終Update：2007.06.13）